おかあさんといっしょ名曲『このゆびとまれ』が世代を超えて愛され続ける理由
NHK Eテレの国民的幼児番組『おかあさんといっしょ』において、数ある「月の歌」のなかでも屈指の人気と知名度を誇る名曲『このゆびとまれ』。2003年春の初放送から20年以上が経過した現在も、ファミリーコンサートのオープニングや歴代ソングブックで歌い継がれ、子どもたちだけでなく親世代の涙腺をも刺激し続けています。
なぜこの楽曲は、時代や歌い手が変わっても色あせることなく、親子の心を掴んで離さないのでしょうか。本稿では、初登場時の制作秘話や歌詞に込められた心理的メッセージ、歴代うたのお兄さん・お姉さんによる表現の違い、そして令和の今なお支持される構造的背景を徹底的に掘り下げます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2003年4月、今井ゆうぞう・はいだしょうこコンビの「就任第1作目(お披露目曲)」として誕生した記念碑的オープニングナンバー。
- 要点2:作詞・日暮真三氏と作曲・赤坂東児氏が手掛けた、幼児の自己肯定感と他者受容を促す巧みな楽曲構造とキャッチーな指遊びの振付。
- 要点3:花田ゆういちろう・ながたまやペアをはじめ歴代キャストに継承され、ファミリー層の共感と絆を育む「育児のアンカーソング」として定着。
【歴史と背景】2003年4月の衝撃|新コンビの幕開けを飾った「伝説の月の歌」
『このゆびとまれ』が初めて放送されたのは、2003年(平成15年)4月のことでした。当時、番組を長年支えた杉田あきひろ・つのだりょうこペアからバトンを受け継いだのが、第10代目うたのお兄さん・今井ゆうぞうさんと、第19代目うたのお姉さん・はいだしょうこさんです。
新体制となった最初の放送月を飾る「今月の歌(月の歌)」として書き下ろされた本曲は、まさに新時代の幕開けを象徴するファンファーレでした。舞台俳優出身の今井ゆうぞうさんが見せた弾けるような笑顔と伸びやかな歌声、そして宝塚歌劇団出身のはいだしょうこさんが放つ圧倒的な声楽的透明感と華やかさ。2人の個性が完璧に融合したこの曲は、視聴者の心を瞬時に掴み、放送直後からNHKへの問い合わせや反響が殺到する異例のスタートダッシュを記録しました。
番組制作関係者の証言や当時の音楽番組ドキュメントを振り返ると、新しいお兄さん・お姉さんが子どもたちと最初に対面する際、「怖がらせず、一瞬で仲間意識を築くための魔法の合言葉」として企画された経緯が明かされています。まさに『このゆびとまれ』という童歌(わらべうた)伝統のフレーズを、現代的なポップスオーケストレーションへと昇華させた革命的な1曲でした。

【楽曲分析】作詞・日暮真三×作曲・赤坂東児が仕掛けた「心をつなぐ仕掛け」
本作のクオリティを支えているのは、児童文化界の名匠たちによる緻密な楽曲設計です。
作詞を手掛けた日暮真三氏は、子どもの日常にある感情の揺らぎや仲間意識を平易な言葉で捉える名手です。「みんな集まれ」という一方的な号令ではなく、「嬉しいこと」「悲しいこと」「悔しいこと」のすべてを包み込みながら、人差し指一本を天に掲げるだけで誰もが輪に入れるという包摂的なメッセージを歌詞に込めました。孤独を感じやすい幼児期において、「ここにいていいんだ」という強烈な居場所の感覚(心理的安全性)を提供しています。
一方、作曲・編曲を担当した赤坂東児氏の手腕も見逃せません。冒頭から弾むようなブラスセクションと軽快なリズムが疾走し、サビに向けて一気に視界が開けるようなドラマティックな転調が施されています。幼児が本能的に真似したくなる人差し指を立てる「振付・手遊び」の身体性と、大人の鑑賞にも耐えうる洗練されたコード進行が見事に同居している点が、本曲の最大の音楽的勝因です。
【歴代比較】ゆうぞう・しょうこから「ゆういちろう・まや」へ受け継がれる表現の進化
『このゆびとまれ』は単なる一過性のヒット曲にとどまらず、20年以上にわたり歴代キャストによって大切に歌い継がれてきました。各時代のお兄さん・お姉さんによって楽曲の解釈やニュアンスが進化している点も、ファンにとって大きな見どころです。
| 歌唱ペア・時代 | 初出・主な収録媒体 | 歌唱・パフォーマンスの特徴 | 編集部の見解・位置づけ |
|---|---|---|---|
| 今井ゆうぞう はいだしょうこ (2003〜2008年) | 2003年4月の歌 『最新ソングブック このゆびとまれ』 | ミュージカル調の華やかさと、包容力ある高音の伸び。初々しさと圧倒的スター性の共存。 | 【原点にして至高】 新時代の象徴となった伝説のオリジナルバージョン。 |
| 横山だいすけ 三谷たくみ (2008〜2016年) | 各種ファミリーコンサート スペシャルステージ映像 | 抜群の安定感と親しみやすさ。子どもと同じ目線で語りかけるような温かいハーモニー。 | 【円熟のスタンダード】 コンサートの定番曲として全国に定着させた功労期。 |
| 花田ゆういちろう 小野あつこ (2017〜2022年) | 記念コンサート 60周年特番等 | 情感豊かな表現力と現代的なポップフィーリング。劇場空間を包み込むような推進力。 | 【情熱の継承】 節目ごとに歴代へのリスペクトを込めて熱唱。 |
| 花田ゆういちろう ながたまや (2022年〜現在) | 現行ファミリーコンサート ベスト盤CD/Blu-ray | まやさんのフレッシュで力強い歌声と、ゆういちろうさんのリードが織りなす現代的躍動感。 | 【現代の息吹】 令和の子どもたちへダイレクトに届く躍動型アプローチ。 |
特に、現役コンビである花田ゆういちろうさんとながたまやさんによるステージパフォーマンスでは、現代のテンポ感に合わせたキレのあるダンスと笑顔が際立ち、親世代だけでなく祖父母世代までをも巻き込む祝祭空間を作り出しています。

【実態検証】ネットの反応とファンの生の声|なぜ親世代が涙するのか?
SNSやネット掲示板(X、知恵袋、コミュニティサイト)の投稿・感想を分析すると、『このゆびとまれ』に対する親たちの熱量は極めて高い水準を維持しています。
「子どもと一緒に手を繋いで観ていたはずなのに、気づけばサビのフレーズで自分が泣いていた」「ワンオペ育児で精神的に追い詰められていた朝、テレビから流れてきたこの曲に救われた」という体験談は枚挙にいとまがありません。
また、2020年12月に今井ゆうぞうさんが急逝された際には、SNS上で本曲の映像や思い出を振り返り、感謝を捧げる投稿が数万件規模で溢れかえりました。「ゆうぞうお兄さんの弾けるような『このゆびとまれ!』の笑顔は、永遠に僕たち・私たち親子の心に残っている」という追悼の声は、この楽曲が単なる子どもの歌を超え、人生の特定の記憶と分かちがたく結びついた「家族のメモリアルソング」であることを雄弁に物語っています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
ネット上の情報や一部のまとめ記事において、『このゆびとまれ』に関して見受けられる代表的な誤解と事実関係を整理します。
①「昔からある童謡のカバー曲」という誤解
「この指とまれ」という言葉自体が伝統的な遊びの合図であるため、古くからある童謡の編曲版だと勘違いされるケースがありますが、本作は2003年に『おかあさんといっしょ』のために完全オリジナルで書き下ろされた楽曲です。
②「歴代のお披露目曲はすべてこの曲である」という混同
新ペア登場時のインパクトが余りにも強烈だったため、「新しいお兄さん・お姉さんが就任したときは毎回『このゆびとまれ』を歌う」と思い込んでいる視聴者も存在します。実際には就任時の月の歌は代ごとに異なっており(例:横山・三谷ペアは『はじめて はじめまして』、花田・小野ペアは『そよかぜスニーカー』、花田・ながたペアは『うらら』)、初披露曲として歌われたのは今井・はいだペアのみです。その後のコンビはコンサート等の定番曲としてカバーしています。
【プロの結論】発達心理学と家族関係の視点から見る名曲の本質
教育・児童心理学の観点から本曲を分析すると、幼児期における「自己肯定感(自分は受け入れられている)」と「共同体感覚(仲間とともにいる)」の獲得を、極めてシンプルな身体言語(指を立てる動作)で促す設計になっています。
家庭内で親がイライラしていたり、子どもがイヤイヤ期で癇癪を起こしていたりする瞬間でも、「このゆびとまれ」と指を差し出す行為は、一瞬で敵対関係を解除し、スキンシップと協調の場をリセットする「心理的アンカー(感情の切り替えスイッチ)」として機能します。家庭内の緊張をほぐし、親子の心理的境界線を健全に結び直す力こそが、本曲が名曲ランキングで常に上位に君臨し続ける最大の理由です。

【おかあさんといっしょ『このゆびとまれ』】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『このゆびとまれ』が収録されているDVDやCDで一番のおすすめは?
A1:オリジナル版を観たい場合は今井ゆうぞう・はいだしょうこコンビの『NHKおかあさんといっしょ 最新ソングブック このゆびとまれ』(VHS/DVD)が金字塔です。最新の映像で楽しみたい場合は、花田ゆういちろう・ながたまやコンビが出演する近年の『ファミリーコンサート』映像ソフトや最新ソングブック Blu-ray/DVDをおすすめします。
Q2:カラオケや音楽配信サービスで本曲を聴くことはできますか?
A2:はい、主要な音楽ストリーミングサービス(Apple Music、Spotify、Amazon Music等)にて、歴代キャストが歌う『おかあさんといっしょ』公式アルバムの中で配信されています。JOYSOUNDやDAMなどの主要カラオケ機種でも手遊びソング・キッズソングとして広く配信されています。
Q3:なぜ『このゆびとまれ』はコンサートの1曲目に選ばれることが多いのですか?
A3:イントロのファンファーレ調の金管楽器の鳴り響きが「今から楽しい時間が始まる」という高揚感を生み出し、観客の子どもたちに「指を立てて参加する」という能動的な一体感を一瞬で持たせることができるため、オープニングに最適な楽曲構造を持っているからです。
まとめ:世代を超えて響き続ける「魔法の合言葉」
2003年の誕生から現在に至るまで、『おかあさんといっしょ』の名曲『このゆびとまれ』は、歌い手を変えながら無数の子どもたちと親たちに勇気と笑顔を届けてきました。
子どもが成長し、番組を卒業したあとも、ふとした瞬間にこのメロディを耳にすれば、無我夢中で子育てに向き合っていた日々の温もりや、愛しい記憶が一瞬で蘇ります。シンプルでありながら普遍的な人間愛を歌ったこの名曲は、これからも新しい世代の親子へと歌い継がれ、いつの時代も変わらず温かい光を灯し続けるはずです。 (出典: おかあさん と いっしょ この ゆびとま れ(Yahoo!ニュース))